運動の上達と運動感覚の育成

運動スキルを獲得するためには、当たり前ですが運動を学習していくことが大切になります。
この運動学習は、「感覚運動学習」あるいは「知覚運動学習」とも呼ばれます。

新たな運動課題を学習するためには感覚情報は不可欠なものになってきます。

例えば、箸を巧みに使うには「視覚運動協応」が重要になりますし、ピアノ演奏には「聴覚のフィードバック」が必要になってきます。
またこの場合どちらにも運動覚が大きく関与しているとも言われています。
またさらに複雑な運動活動では、その運動をより効率的にできるように多くの感覚系情報が統合されて実際の運動が表出されています。
例えば、バスケットボールでは選手はゴールやネットといった対象物に視覚、審判やチームメイトに聴覚、ボールには触覚、身体の相対的位置には運動覚を利用しているようなことです。
このように多くの感覚系からの情報をもとに運動を行いますが、もしその一部に障害があれば、他の感覚系で代償したりその活動様式を変えて対応しようとします。
さらにその運動が上達していく、それも目を閉じてもできるくらい上達すると、様々な感覚情報に頼らなくてもある程度の運動遂行は可能になっていきます。
事故や病気などで求心路を遮断された人が、閉眼で複雑な手指構成ができることは良く知られている現象です。
しかし、これらはすでに経験した情報があるからこそできるもの。
やはり新たな運動課題を学習するためには感覚情報は不可欠なものになってきます。

感覚情報から運動の記憶を構築し、それが自動的・反射的に表出されるように反復することが重要。

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学習した記憶は蓄えられ、その後の運動にも大きな影響を与えていきます。
一般的な記憶は事象や出来事の記憶のように意識的に取り出すことができ、かつ真偽が存在し1回試行学習ができるものとされています。
しかしながら、運動・技能の記憶というものは意識的に取り出すことはできず、かつ真偽は存在せず多数回試行学習による習熟度に応じて行動は自動化されるものになります。
運動を記憶する、運動を学習する。
いわば運動学習の大部分はそういったものになるでしょう。
例えば、自動車の運転の学習では、最初は意識的・認知的記憶を必要としますが、最終的に運転は自動的・反射的に自転車に乗れるようになります。
自転車を乗るのに乗るための手続きについて考えて乗るヒトはいないでしょう。
感覚情報から運動の記憶を構築し、それが自動的・反射的に表出されるように反復すること。
運動スキルの獲得とは、いかに様々な感覚入力を行い、運動感覚を養うかということに行きつくのではないかと思います。

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