股関節の関節運動

股関節は、大腿骨頭と寛骨臼からなる関節です。股関節は楕円球とソケットからなる関節であり、人体において最大の滑膜関節です。この関節は靭帯結合が強力で適合性も良好のため、非常に安定かつ強固な関節です。股関節の主要な機能は、歩行およびランニング運動ですが、股関節の動きは体幹の動きにとっても重要です。

股関節の運動性

同一個体の左右の股関節は3方向の自由度をもちます。大腿骨頭はその2/3が球形であり、直径は4〜5cmとなります。骨頭は大腿骨頸部により支持され、大腿骨頸部は骨幹部と約125°の角度をなしています。大腿骨頸部は骨幹部を骨盤の外側に位置させることで、股関節の運動性を高めています。寛骨臼関節窩は凹面を前方、外方、下方に向けています。股関節のclose pack position、すなわち関節包および周辺の靭帯のほとんどが緊張し、かつ関節面の適合性の良好な肢位は、伸展・内旋・外転位です。股関節のloose pack position、すなわち関節包および靭帯のほとんどがゆるみ、関節適合性も不良な肢位は、屈曲・外旋・内転位となります。股関節の適合性は荷重時のみ良好であり、その他の肢位では不良であるとされています。

歩行時の股関節機能

歩行時においては、股関節は、踵接地期にはloose pack position、踵離床期にはclose pack positionとなり、歩行周期ではこれを繰り返しています。踵接地期のloose pack positionは、股関節・大腿の筋が遠心性に収縮する際の接地時の衝撃を吸収するために必要であり、一方、踵離床期でのclose pack positionは体幹を前進させる際、股関節・大腿の筋が求心性に収縮し大腿骨を押し下げるために必要となります。股関節は、前額面、矢状面、水平面の3方向の自由度を有し、矢状面では伸展10〜15°、屈曲135°であり、前額面では外転30〜45°であり、内転20〜30°、内旋30〜75°、外旋25〜75°となります。前額面、水平面での股関節の可動域は個人差が大きいですが、健常者や若年者での同一個体での左右差は殆どありません。

股関節の安定性

人が直立のリラックスした姿勢で立っているとき、股関節の一側または両側が完全伸展していると仮定すれば、股関節の安定性に必要な筋活動はわずかなものですみます。この姿勢のとき、重心線は股関節回転の内外軸に対して後方を通過します。つまり、重力により股関節は他動伸展させられているということになります。完全伸展に近い位置へ引っ張られると、股関節伸展位の安定性をより高めるために、股関節の靭帯の緊張を高めます。確かに、筋力には、人が立っている間の関節の安定性の強化や調節が定期的に求められますが、これらのメカニズムは主要なものではなく、通常予備的、二次的に使用されます。しかし、股関節が屈曲拘縮している場合は異なり、股関節がやや屈曲位であるため、安定のために股関節伸展筋は常に作用しています。このような状態は代謝的に、高コストなだけでなく、股関節に不必要に大きな力を作用させていることになります。これらの力は、常に作用して、適切なストレスが分散できない異常なアライメントにつながり、有害となるでしょう。

全身運動に対して貢献している股関節の完全伸展は、骨盤上の大腿骨と大腿骨上の骨盤の関係を理解するために重要です。骨盤上の大腿骨の運動は、歩行している間などといった環境に対する相対的な身体位置の変化と関係しています。対照的に、大腿骨上の骨盤の運動は固定した下肢の相対的な位置変化と捉えられます。大腿骨上の骨盤動作の複雑性は、腰椎の運動学と強く関連しています。そのため、股関節における動きの減少や異常に関する評価では、腰椎部分の柔軟性と使用頻度の高い姿勢の評価を含むべきであると考えられます。また、股関節をまたぐ筋の1/3近くは骨盤から起こり、脛骨または腓骨遠位に付着します。そのため、これらの筋における力の不均衡は、複数の体節の姿勢と可動域に影響を与えます。

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